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シェイクスピア&英国演劇 情報紹介サイト Shakespeare and British Theatre Information Site


英国演劇史概説 A brief history of British Theatre

-中世の演劇とキリスト教
-チューダー王朝下の演劇とヘンリー8世の宗教改革
-王政復古以降の演劇と独占権・大陸演劇の影響
-ヴィクトリア時代の演劇
-英国舞台・演劇黄金時代
-時代の流れと英国演劇・戦後の変化・「古典」の復活〜現在


中世の演劇_______________________________________________________________

中世以前の欧州で、演劇が盛んに行われていたのはギリシャ・ローマ時代で、ローマ帝国が拡大するにつれ、欧州各地の植民地にも、その演劇文化が積極的に広められていったようです。帝国領内の北の外れに位置した「ブリテン島」も例外ではなく、現在も、英国各地に「ローマ式野外劇場」の遺跡が残されています。演劇は、ローマの祭事などと共に、それぞれの土着の風習と交じり合いつつ各地に定着していったと考えられます。

しかし、5世紀に西ローマ帝国が崩壊し、以降9世紀頃にかけて 徐々にキリスト教が欧州全域に普及すると、ギリシャ・ローマに属する文化的な催しは、すべて「異端のもの=悪」として排除されていくようになりました。初期の布教者たちが、「キリスト教に属するもの以外は、全て悪魔に属するもの」という二元的な考え方をしていたためで、ことローマ劇は、その人気からキリスト教権威に対する脅威と見なされ、劇場は閉鎖、ローマ劇の役者たちも迫害されていきます。

その後、教会に組み込まれる形で、徐々に各地で演じられるようになっていったのが、キリスト教を題材にした宗教劇でした。礼拝の際に、聖書の一場面を生身の人間が再現したのもが取り入れられ、そこに聖書から引用した会話が付け加えられるようになったのが始まりと言われており、元々は聖職者や、おそらくは聖歌隊の少年たちが演じていました。当時、聖書はラテン語、礼拝もラテン語で行われていましたから、民衆に聖書の教えを理解させることは難しく、そこで使われるようになったのが、この聖書の内容を視覚的に伝えるという形だったようです。

こういった芝居が人気を博すようになってくると、聖職者たちは演じることを禁じられ、次第に、芝居は教会の手から離れて発展していきます。ラテン語の代わりに土着の口語で台本が作られ、Miracle Plays(奇跡劇・聖人劇), Morality Plays(寓話・道徳劇), Mystery Plays(聖書劇)などのジャンルに分かれていきました。演じられる場所も、礼拝から独立して、教会の中から、外へと変わっていったようです。14世紀の中頃までには、教区の男性が無報酬で演じ手を担うようになっていました。

公演は複雑化し、やがて複数の専門家ー総監督的な立場の者や、舞台の仕掛け担当などーが雇われて、より華やかに広場などで演じられるようになっていったと考えられます。中でもMystery Playsは、聖書の中の複数の説話が組み合わされて一連の芝居として上演されていたものですが、当時、経済の発展に伴い力をつけてきた職人ギルド(組合)が、それぞれ、自らの産業に係わりのある題材部分の上演を、費用を出し合い受け持っていたようです。例えば、ノアの箱舟の場面は大工組合が、キリストの磔の場面は釘職人組合が、東方三博士がキリストに贈りもの(黄金と乳香とミルラ)を捧げる場面は金細工師組合が、それぞれ主催者となって芝居を上演していました。


*Miracle Plays ミラクル劇(奇跡劇・聖人劇)は、キリスト教の聖人の生涯、奇跡の伝説、殉死などを扱った芝居。
*Morality Plays モラリティ劇(寓話・道徳劇)は、キリスト教的道徳や善悪の教えを、寓話的な芝居にしたもの。
*Mystery Plays ミステリー劇(聖書劇)は、創世神話から最後の審判の日までの聖書に描かれている説話が、それぞれ短編の続きものとして表現される芝居のこと。ルシファーの堕落、カインとアベル、ノアと洪水、キリスト生誕などの題材がある。一連の「続きもの芝居」であるためMistery Cyclesとも呼ばれる。



イングランドでも12世紀中頃には、こういった宗教劇が盛んになっていたようで、現在、四都市で行われていたMystery Cyclesの上演台本が、ほぼ完全な形で残っています(Wakefield ウェイクフィールド(Towneley cycleとして知られる), Chester チェスター, Coventry コヴェントリー, York ヨークの四つ)。

これらの「宗教劇」は、15世紀には、かなり民衆の間で人気の高いものとなっていたようです。多くの場合、Pageant Wagons パジェント・ワゴンと呼ばれる可動式の舞台の上で、町の広場、祭り会場などで上演されていましたが、時代が進むにつれ、次第に固定した舞台のある居酒屋の中庭などで行われるようになっていったと考えられます。聖書や宗教的な内容から離れた世俗的なテーマの芝居も、徐々に宗教劇の一部として付け加えられていきました。


また、一方で、宗教劇とは一線を画す、Mummers' ママーズ(マイマー、又はGuisers' ガイザーズ 仮装者)と呼ばれる仮装劇も、中世を通して発展していました。

Mummers' Plays と呼ばれる、民話や伝説を題材にした仮装芝居は、Morris Dance(モリス・ダンス)などの土着の踊りと共に徐々に発展し、中世中期頃には、季節ごとの祭りの時期に催されるようになっていたようです。聖ジョージやロビンフッド、悪役騎士、医者、道化、ベルゼブブ(悪魔)などのお決まりの登場人物が、お定まりの「復活劇」を繰り広げる、土着の民話を基にした、愉快な大道芝居のようなもので、現在でもイングランドのみならず、ブリテン島の各地や、イングランドの初期植民地などでアマチュア芝居として、ことクリスマスの時期に催されるのを見ることができます。

現存する史料に乏しく、こういった「台本のある芝居的な形でのMummers' Play」の起源には諸説あるものの、一般的には、祭りの際に仮装して賑やかに歌ったり踊ったりして家々を練り歩き、宴を盛り上げる者たち、Mummersの存在は、キリスト教以前の、夏至や冬至祭、収穫祭などに端を発し、中世を通じて発展したと考えられています。

また、王侯貴族たちの間でも、特にクリスマスに'Mummers'による娯楽を楽しむことは定着していたようで、13世紀後半には、Mintrels(吟遊詩人・中世初期には、戦時のラッパ吹き・楽器を奏で、詩作し、歌い、芝居し、曲芸もするような人々)や楽師と共に、'Mummers=仮装者たち?'が、クリスマスの時期に、エドワード1世の宮廷で王女の結婚祝いに呼ばれていたことが記録に残っています。この「仮装娯楽」とでも呼ぶべき催しは、後の時代のMasque マスクと呼ばれる豪華絢爛な屋内宮廷芝居の初期の形となるものとも考えられています。

ちなみに、こういった「芸人」たちはアマチュアではなく、職業人として、多くの場合は王侯貴族たちの家人として雇われていました。また、召し抱えとなった者たちは、貴人の家人として主人の紋章や揃いの制服をつけ活動することが常でした。イングランドの王侯貴族たちが、中世の時期から、既に娯楽のためのFool(道化・愚者)、Minstrel(楽師・吟遊詩人)、Players(役者たち)を、お抱えの家臣として雇っていたことは、イングランドの演劇を理解する上では、大変に興味深い事柄です。


初期チューダー王朝下の演劇________________________________

チューダー朝最初の王、ヘンリー7世の宮廷における娯楽・催しものに関しては、記録が殆ど残されていないものの、現存する宮廷財務官の出納帳から、ある程度の推測が可能になっています。それによりますと、自身お抱えの一座や、外部の一座による公演が、数多く行われていたこと、それ以上に、disgguisings 仮装劇や revels お祭り騒ぎといったものに多額の費用を費やしていたことが分かります。ヘンリー7世自身は、あまり王侯貴族の娯楽スポーツである「馬上槍試合」や宴席に興味がなかったようですが、自らの宮廷が、必要に応じて、相応の式典や宴を催す力があることを内外に示すことは、きちんと行っていたと考えられます。

続くヘンリー8世はの宮廷は豪華絢爛。父親とは異なり、娯楽を、王の権力を諸外国の外交官や宮廷人たちに見せつけるための手段と考えていたようです。宮廷は、道化、楽師、役者の一座を召し抱え、大貴族たちもそれぞれ自らのお抱え劇団を持っていました。また、召し抱えとなった者たちは、貴人の家人として主人の紋章や揃いの制服をつけ活動することが常でした。

一方、民衆の間でも芝居は人気で、当時は「宗教劇」が盛んに行われていましたが、ヘンリー8世により「宗教改革:カトリックからイギリス国教会(プロテスタント)への変換」が強行されると、演劇事情は急激に変わっていきます。それまでカトリックの教義の下で行われていた礼拝・祭事は一切禁止され、それまで人気を博してきた宗教劇は、カトリック色が強かったため全て上演が禁止されます。それに伴って、いわゆる「世俗芝居」の需要が増えたことも、後にイングランド演劇のルネサンス期を生み出すを基盤を形作っていったと考えられます。


シェイクスピアの時代の演劇〜エリザベス1世からジェームス1世の時代、劇場閉鎖まで_____________

→シェイクスピアの時代の演劇についてはこちら(編集中)


王政復古以降の演劇_________________________________________________________

(編集中です)


ヴィクトリア時代の演劇_____________________________________

(編集中です)


英国舞台・演劇黄金時代______________________________________________________

(編集中です)


時代の流れと英国演劇_______________________________________________________

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おまけ 西洋演劇の祖〜ギリシャ・ローマ劇__________________________________________

(編集中です)

英国演劇

英国演劇史用語集(準備中)
英国演劇史概説
英国の名優たち(準備中)